北海道学生サッカー連盟

北海道学生サッカー連盟

JUFA Hokkaido


HOME > Blog キムケン

Blog

キムケンの大学サッカー応援コラム

キムケンの大学サッカー応援コラム2016年度⑨

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。北海道のアマチュアサッカーもシーズンがほぼ終了したといっても良いでしょう。学連関係の試合も5日に過酷な雪中サッカーとなった1部2部、2部3部の入替戦が最終戦となりました。6日に東雁来で予定されていた、北海道2位の札幌大学(以下、札大)と東北2位の岩手大学(以下、岩手大)で争われる、第65回全日本大学サッカー選手権(インカレ)プレーオフは、大雪のため延期となり、13日、場所は伊達市にある「まなびの里公園サッカー場」で行われました。今回はその試合をレポートします。

この1戦を制したチームが、12月7日から行われる本戦に駒を進める運命の一戦。岩手大学はコンパクトな陣形でしっかり守備ブロックを作って、鋭いカウンター攻撃を武器にするチーム。北海道でいえば北翔大をさらに堅くしたチームと言えるでしょう。ですが全体的な技術レベルでは札大の方が上。岩手大が守備を札大のオフェンスがどう打ち破るかが、試合の焦点とみていました。

試合開始から、流れを作るのは札大ですが、試合延期の影響は少なからずありました。動きが重く、MF平塚悠人選手(2年)を中心にワンタッチ、ツータッチのシンプルなパス回しで崩していく札大のサッカーを展開する前に、パスミスや、岩手大の守備ブロックにはめられ、チャンスを作れない状態。逆に、ボールを奪われた後にカウンター攻撃を受け、10分にゴールバーに当たるミドルシュートを打たれるなど、実質は岩手大ペースで進んでいました。

1部リーグ終了後、札大はプレーオフまでの2週間、雪のため、ほとんどを体育館など室内練習を余儀なくされました。グラウンドと室内では練習の質や感覚がまったく変わってきます。砂川誠コーチは「見るからに動きが重かった」と語り、池田一起主将も「正直、外で練習していなかったので、動けるかどうか不安があったし、最初はみんな動けていませんでした」と話します。

それでも、個の力で勝る札大はすこしずつペースを取り戻し、41分、MF藤井湧揮選手(4年)から、FW新田裕平選手(2年)に渡り、走りこんできた左サイドバックの岡部航太選手(4年)にマイナスのパス。フリーで売ったシュートが、ゴール前に詰めていたFW稲田浩平選手(4年)が触りコースを変えて待望の先取点をものにします。おそらく後半勝負だった岩手大にとっては痛恨の失点でした。

動きを取り戻した札大は、後半に入って明確にペースを握り、今季の砂川コーチの目指す、個の力とそれぞれのアイディアを生かし、少ないタッチのシンプルなパス回しで「相手の逆を取る」サッカーを展開。後半8分の2点目も相手の右サイドを崩し、岡部選手のゴール前へのシュート気味のパスに新田選手が飛び込み、完全に崩し切って貴重な追加点を挙げます。池田主将は「岩手大が引いて守ってくるのは想定通りでした。また、(ディフェンスラインの)裏もケアしてきたので、パスで崩していくしか得点できないと思った。そういう意味では砂川さんのやろうとしている形ができたと思います」と話します。

流れは札大の快勝ムードでした。しかし、後半40分に岩手大が選手交代から3トップにしてきてから、波乱が起こりました。相手の3トップに対して、砂川コーチはボランチの池田主将を4バックの間に入れ、変則の5バックでセーフティーに逃げ切る作戦を指示しました。しかし「初めてやるシステムだったので、皆に僕がやることを伝えきれなかった」と池田主将が話すように、両サイドバックが高い位置に張り、筆者でも3バックにしたのか?と捉えていました。試合を終わらすつもりが、やりたいことが伝わらず混乱をきたす。よくあるパターンと言えそうですが、試合終了直前の44分に岩手大MF吉見拓哉選手(4年)に決められ同点に追いつかれます。とはいえ1点リードで残りはアディショナルタイムだけなので、それほど慌てることはないはずでした。

ですが、この失点が札大に動揺を走らせたのか、アディショナルタイム3分の時間帯に右サイドバックのMFアシ・アディコ選手(2年、北海道大谷室蘭高出)が札大の開いた左サイドに走りこみ、平塚選手がペナルティーエリア内のタックルで倒し、まさかのPKを与えてしまいます。これを再び吉見選手が決め、まさかの同点で後半終了します。札大にとっては残り4分で同点に追いつかれる悪夢。サッカーはこれだから分かりませんし、面白い。勝負は延長前後半15分ずつ30分間の延長戦となりました。「力を考えれば、3-0、4-0にしなければいけない展開。変に余裕を持ちすぎて失敗するパターンになった」と砂川コーチは悔やみます。

まさにジキルとハイドのような札大の試合ぶり。今季の大学サッカーを見ていて感じたことは、とにかくメンタル面がプレーに大きく影響するということでした。ちょっとしたハプニング、ミスで大きく動揺してしまいゲームコントロールが効かず、崩れると修正ができないパターンが多々見られました。なので、今年は1部から3部まで前半から打ち合いとなる試合が目立ち、2部の試合ですが、前半3-1の試合が最終的には3-7という試合もありました。実力的にはそう変わらないのに、大差がつく試合も目立ち、総じて今年は大味な試合が多かったと感じています。砂川コーチも「1点取られた後にあれだけバタバタするんだから」とプロを経験してきた自身の感覚との差は大きいようです。北海道アマチュアサッカーの強豪といえる札大でも、メンタルに左右されてしまう。これが北海道学生サッカーの現状なのかもしれません。

しかし、負けたら4年生は引退試合となるため「正直、気持ちが落ちた部分はありましたが、最後の試合にはしたくないので、4年生でモチベーションを高め合った」と池田主将が話し延長前半に臨みます。試合の展開は攻める札大、守る岩手大という図式は変わりませんが、最後の力を出して札大がより前への圧力を強めます。迎えた12分、左サイドの按田選手(1年)のクロスのクリアボールをDF石井源選手(4年)が拾い、ゴール前に浮き球のパス。これに裏を抜けた途中出場のMF中島洸選手(2年)がフリーで冷静にゴール右に突き刺し突き離します。延長後半分にも池田選手のパスにMF海藤健二選手(2年)が倒れこみながら執念で右隅に決め、ダメ押し。予想以上の苦戦を強いられながら、札大が何とか逃げ切り、6年連続41回目となるインカレ本戦の出場を決めました。

浮き沈みの激しい試合でしたが、一度落ちた気持ちを奮い起こし勝ち切った力と執念はさすが札大でした。「今年では一番プレッシャーを感じていた試合でした。最低限の責任を果たせてホッとしています」と池田主将。内容は今季の札大の強さともろさを体現した試合でした。サイドバック、中盤、そしてFW陣に能力の高い選手をそろえているため、勢いに乗った時は、素早いパスワークで連動した攻撃で相手を面白いように崩していけます。しかし厳しいプレッシャーを受けたり、守勢に回った時に打開する手段にまだ乏しいという弱点も見られました。

今季、総理大臣杯は優勝しましたが、それ以降は北大にリーグ戦前期と知事杯で敗戦を喫したり、岩教大にはリーグ戦では2試合とも完敗したり、苦しい道のりだったはずです。砂川コーチの1年目で、発展途上ということもあるでしょう。「わかったことは、こちらが当然できると思って伝えたことが、選手には理解できなかったり、伝わっていないこと。それは、自分に伝える力が不足しているのもあるし、考えていかないと」と砂川コーチ。プロとして長年戦ってきた自らの感覚と、アマチュアの大学生が持つサッカーへの理解とのギャップに想像以上に戸惑った1年だったようです。指導者1年目ということもあり、手探りの面もあったでしょう。4年間のスパンで選手もめまぐるしく入れ替わる大学サッカー。その中で砂川コーチが、プロとアマチュアという感覚のギャップを埋める最適解を見つけた時、結果も内容も伴う楽しいサッカーが展開されるはずです。

さて、これで岩教大と札大が、今年もインカレに進むことになりました。札大は東海第2代表の中京大と、岩教大は九州第3代表(相手未定)と対戦します。両校の健闘に期待しましょう。

これで北海道での大学サッカー関係の試合は11月13日を持ってすべて終了しました。1年の流れは早いものです。今季も涙あり、笑顔あり、それぞれのドラマがつまった北海道大学サッカーをウォッチできて光栄でした。来年も同じように皆さんに情報を発信できる機会がありましたら、その時はよろしくお願い致します。
札大①.JPG
札大②.JPG
札大③.JPG
札大④.JPG
札大⑤.JPG
札大⑥.JPG
札大⑦.JPG
▽写真説明
①前半41分、DF岡部がFW稲田のゴールをシュート気味のアシスト
②ゴールした稲田(背番号9)を祝福する札大イレブン
③後半8分、FW新田が追加点を挙げ喜ぶ
④延長前半12分、MF中島が値千金の決勝ゴールを決める
⑤ゴールを決め喜ぶ中島
⑥延長後半5分、MF海藤が倒れこみながらダメ押しゴール
⑦インカレ本戦出場を決め喜ぶ札大イレブン

キムケンの大学サッカー応援コラム2016年度⑧

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。速いもので今季のレギュラーシーズンも終わりとなりました。後は5日の入れ替え戦を残すのみです。1年が過ぎるのは早いと痛感します。また、学生の皆さん、特に4年生は長いと思っていた4年間はあっという間に過ぎると実感していると思います。学連加盟1~3部のほとんどのチームが29日、30日のリーグ戦で最終戦を迎えました。今季最後の試合、また4年生は大学生活最後の試合となり、すべての試合にそれぞれのドラマがあったはずです。

この最終節は1部で北海道教育大学岩見沢校(以下、岩教大)と札幌大学(以下、札大)の大一番が行われました。首位・岩教大と2位・札大の勝ち点差は1。札大は優勝へは絶対に勝たなければいけない一戦です。今季は総理大臣杯では3-1で札大、リーグ前期では6-1で岩教大が雪辱しています。今季を見てきた個人的見立てではフィジカル面や個の能力はMF平塚悠知(2年)、コンサドーレ札幌の特別指定選手となった按田頼(1年)、FW新田裕平(2年)などプロを目指せる選手がいる札大がわずかに上回りまずが、チーム力、共通意識の高さは岩教大が上という印象でした。

どちらにしろ、先取点が大きなカギを握るとみていました。システムはお互いに4-3-3。前半序盤は、引き分けでも岩教大がセーフティーに試合を運ぼうとしたのか、出足が鈍く、サイドバックの按田選手を3トップの右に配し攻撃的布陣の札大がペースを握りました。セカンドボールを拾いゴール前まで迫るのですが、岩教大の組織的な守備にシュートまで持ち込めません。いつもの札大の人数をかけた分厚い攻撃が出ずじまいです。なぜか。札大のファンタジスタと言えるMF平塚選手とFW新田選手、按田選手の札大ホットラインを岩教大が、ほぼ完ぺきに封じたからです。按田選手の突破をさせないために、ディフェンスは縦のラインを切り、レフティーの平塚選手に対しては左足側を切るという形を練習で徹底させてきました。タイトなマークで2人がボールをフリーで持てることがほぼなかったですし、ボールを持っても平塚選手も激しいマークにいつもの目の覚めるようなスルーパスや効果的なコンビネーションを出せずじまいでした。

そんな膠着した試合の流れを破ったのは岩教大でした。動きが硬くクリアーするだけの展開でしたが、「声を出せ!」とベンチから叱咤され、少しずつ本来のパス回しが出てきた23分、MF小川達也選手(1年)が中央から持ち込み、右サイドの裏を抜けたMF小泉洋生(4年生)にパス。フリーの小泉選手はゴール前にグラウンダーのパスを入れ、ファーサイドから飛び込んだFW小笠原光研選手(2年)が決め、先制点を決めます。この先制点も習い通りで、「相手のサイドバックも攻撃に上がってくるので、4-3-3を生かして、空いたサイドを使って崩していこう」(越山賢一監督)とゲームプランを立てていました。これで俄然、岩教大が有利となります。その後は完全に岩教大のペース、相手の攻撃のホットラインを沈黙させ、高い位置で奪ったボールをシンプルにつなぎサイドからチャンスを作っていく展開が続きます。そして42分、井端純ノ輔(3年)が蹴った右CKが大きなカーブでゴールバーに直接当たり、GKが弾きだしましたが、良いポジションに詰めていたFW加藤大登選手(3年)がこぼれ球を押し込み2-0。札大は途中から4-2-3-1などシステムを変更しますが、不利な状況を打開できないまま前半が終わりました。

攻めるしかない札大に対し、岩教大はそれほど無理をせず、しかし、前半完璧に行ったホットラインつぶしを後半も忠実に実行します。平塚、按田、新田選手にボランチの池田一起主将(4年)や、得点王となった稲田浩平(4年)などがからむ分厚い攻撃は影をひそめる札大。平塚選手や、按田選手がこれほど仕事をさせてもらえない試合は今シーズン初めてかもしれません。そして、相手のサイドの裏を突き、加藤選手や、3トップ中央のFW中本峻平選手(1年)が決定的シュートを放ちますが、シュートが弱かったり、GKにセーブされます。ここで、3点目を決めていたら試合は完全に決まっていました。

やはり、北海道ナンバーワンを決める両校の試合は簡単には終わりません。後半も中盤が過ぎ、やや岩教大の気持ちが緩んだ時に札大の反撃が始まります。後半26分、ゴール前左から途中出場の藤沼選手、橋本選手、稲田選手とつなぎ、最後は寺林研人選手(4年)がフリーでシュートを決め1点差に迫ります。ちょっとでも気を抜くとかさにかかって攻めてくる迫力はさすが札大という得点でした。その後は攻め急ぐ札大と守りながらもしっかりカウンターを狙う展開。試合終了直前、左サイドから崩した札大のノーマークとなったのヘディングシュートがありましたが、ゴールを惜しくもはずれ、試合終了。ゲームプラン通りに試合を運んだ岩教大が2年連続3回目の優勝を果たしました。

「最初はセーフティーにいって動きが悪かったけど、いい時間帯に得点できたのが良かったです」と奈良創平主将(4年)は語ります。今季は総理大大臣杯、学生リーグ通じて2敗と安定した戦いぶりを見せました。昨年か岩教大の基本システムとなった4-3-3もより深度が深まってきたようです。今季は走力、運動量のある1年生がシーズン中盤から主力で出場するようになり、華麗なパスワークの印象のある岩教大のサッカーが、パスワークとともに、相手より走る運動量とシンプルなパス回しで手数をかけずにゴールに迫る堅実なサッカーもできるようになってきたように見えます。「総理大臣杯までは、まだパスを回してばかりで、自分たちで難しくしてしまっていた。監督や皆とも話し合ってシンプルやることも心がけました」と奈良主将。テクニックだけではなく、全員でハードワークするチームとなりました。後期リーグは深井祐希選手(2年)、高橋純平選手(4年)の両CBを中心に守備もわずか2失点と安定感抜群でした。負けにくいチームとなった岩教大、相手にとっては厄介なチームだったでしょう。

対する札大は、この力はリーグ1だと今も思っています。前述した、平塚選手を中心とした攻撃は、イマジネーションと爆発力を感じさせるものでした。しかし、岩教大のように研究され、激しいプレッシャーにさらされると沈黙するという、もろさも垣間見せました。最後までしっかり走り、厳しいプレスが特徴だった北大にも今季2敗したのも、もろさゆえだったのかも知れません。池田主将は「平塚をうまく生かしてあげることができませんでした。岩教大が一枚上手で、うまく守備もはがされてしまいました」と完敗を認めました。今季からコンサドーレ札幌のレジェンドだった砂川誠氏がヘッドコーチに就任し、指揮を執っています。砂川コーチは選手にある程度の自由を与え、アイディアを持って楽しいと思えるサッカーをすること。砂川コーチが現役時代の真骨頂だった「相手の逆を取る」プレーを求めています。もちろんそれには選手同士の共通理解を必要とします。「砂川さんのサッカーをみんなが理解できれば楽しいし、勝てるサッカーになると思います。でも、まだ岩教大と比べて、お互いの共通意識が足りないと思います」と池田主将。砂川体制1年目だけに、浸透するにはもう少し時間が必要なのかもしれません。

これで岩教大は12月7日から開催される「第65回全日本大学サッカー選手権(インカレ)」の出場が決定しました。「全国に出てくるチームはサッカーを知っている。今年は全国で勝っていないので1勝はしたい」と奈良主将。2位となった札大は今月6日、東雁来公園サッカー場で東北リーグ2位の岩手大学と本選出場をかけたプレーオフに挑みます。札大も勝ち抜いて、インカレでは2校の北海道旋風を期待したいものです。

また、30日は2部の大一番、1位の北星学園大と勝ち点差1で続く2位の北大医学部が対戦、2-1で北大医学部が勝利し、悲願の1部昇格を果たしました。昨年は入れ替え戦で北海学園大と2-2で引き分け、2部残留という悔しさも晴らしたことでしょう。1部と同日の試合だっただけに、撮影できなかったことが残念です。おそらく、歓喜と涙がグラウンドにあふれていたことでしょう。北大医学部の皆さん、おめでとうございます。1部の壁は分厚いですが、健闘を期待しています。また、29日は3部の順位決定戦が行われ札教大が釧公大に5-1と完勝し、3年ぶりの2部昇格を果たしました。どんな試合でも最後は悲喜こもごものドラマがあります。これで、5日に行われる入れ替え戦は1部7位・函教大と2部2位・北星学園大、2部7位・札医大と3部2位・釧公大が対戦します。泣いても笑っても本当に今季の最終戦、レベルを越えた壮絶な戦いが展開されます。入替戦と今季は北海道のホームで行われるプレーオフ、北海道のアマチュアサッカーファンの方はぜひご注目下さい。
写真①.JPG
写真②.JPG
写真③.JPG
写真④.JPG
写真⑤.JPG
写真⑥.JPG
写真⑦.JPG
▽写真説明


札大FW按田と競り合う岩教大DF高橋

札大MF平塚をマークする岩教大DF見原

前半23分FW小笠原が先制点を決め喜ぶ岩教大イレブン

前半42分、岩教大FW加藤が追加点

ベンチ前に駆け寄りベンチメンバーに祝福される加藤

優勝を決めベンチで喜ぶ岩教大イレブン

優勝で盛り上がる岩教大の集合写真

キムケンの大学サッカー応援コラム2016年度⑦

大変ご無沙汰していました。北海道学生サッカーサポーターのキムケンです。しばらくペンを置いていた間に、あっという間に大学サッカーのシーズンも大詰めを迎えました。ひと足早く、10月23日までに、3部リーグはEASTとWESTの優勝チームが決まりました。
そしてこの3部リーグEASTでは、サッカーの難しさ、面白さを改めて思い知る、大どんでん返しが起こったのです!

今季の3部EASTの大本命は旭川大学(以下、旭川大)でした。今季、創部2年目で学連に参戦。スペインのバルセロナで5年間コーチングを学び、カタルーニャ指導者ライセンスを持つ木崎次郎監督のもと、北海道高校サッカーの名門校、旭川実業高の選手が中心に集まり1年生中心で、20人の少数精鋭の部員のもと、1年での2部昇格を目指していました。5月に行われた総理大臣杯では2部で上位争いの常連である樽商大を破り、1部の東海大に1-2と善戦。個人能力では3部にいるチームではないという印象を持ちました。特にキャプテンのMF田中新明選手(3年)は、社会人の六花亭に所属していた経験もあり、3部では際立って違いを生み出せる選手と感じていました。6月の前期リーグ開始後も快調で、ライバルの釧路公立大(以下、釧公大)には1-4と完敗を喫しましたが、後期には4-3と借りを返し、1敗のまま残り2試合を迎えます。2位・釧公大と勝ち点は3差で直接対決は終えています。そして得失点差は19点もあり、2試合で1勝、それも1-0でも勝てば事実上の優勝を決める絶対優位の立場にいました。

迎えた10月16日の後期4節の東京農大戦(以下、東農大)は、事実上の優勝をこの目で見ようと旭川に足を運びました。前半から試合を一方的に支配し、先制しながらも、その後も数あるチャンスを決められず、前半のうちに逆転されます。東農大もしっかりブロックを作りながら、1対1や球際で激しくタイトな守備で応戦し、カウンター攻撃を狙います。後半に入ると、ボールを支配しながらも、1年生中心のせいか、次第に焦りが表に出始め、パスやクロスの精度、状況判断に狂いが生じ、チームのバランスが崩れ、徐々に得点の匂いが消えていきます。そして、最後もロスタイムにカウンターから止めを刺され、まさかの喫したのです。技術的には頭一つ抜けているはずの旭川大が持っている現時点の弱点が垣間見えた気がしました。逆に、東農大の組織的な激しいディフェンスは感銘を受けるとともに、格上の相手に勝つお手本を見せられた気がしました。シュート数は旭川大24本で東農大は3本。これでも勝てるのがサッカーなのです。この日、釧公大は北海道教育大学釧路校(以下、釧教大)に3-0と完勝、勝ち点で旭川大に並びましたが、得失点差は14点と依然として大差があり、旭川大が勝てば優勝という優位は変わりませんでした。

そして22日の最終節はEAST全試合が十勝の豊頃町で行われました。旭川大は2試合目で釧教大と対戦。東農大戦と同じく、田中主将のキープ力やパス、1年生ながら抜群の突破力のある右サイドバックの佐藤和希選手を中心に試合を圧倒的に支配しますが、5バック気味の釧教大のディフェンスに攻めあぐね、決定的チャンスもシュートがゴールバーに当たるなど決めきれません。0-0で迎えた後半5分にカウンター攻撃からこぼれ球を釧教大のFW中村裕人選手(3年)が先制弾を決めます。ここから、旭川大の選手が焦り始め、攻め急ぎクオリティーが落ちていく前回と同じパターン。それでも同27分にFW斉藤圭亮選手が中央から同点弾を決めます。そして、同36分には釧教大のDF森隆弘選手が警告2枚で退場処分に。俄然、有利になった旭川大ですが、圧倒的に攻めながら撮影している筆者としては勝てるイメージが湧きませんでした。なぜなら、焦りからかチームとしてのイメージが共有しきれていないことで、個の力で上回りながら、まとまりきれていないと感じたからです。10人で必死のブロックを作る釧教大を崩し切れずにアディショナルタイムを2分も過ぎた時、ロングパスから前がかりの旭川大ディフェンスラインの裏を抜け出た釧教大のFW波平真志選手(1年)がゴールを決め、1人少ない釧教大がまさかのリードを奪います。ウォームアップをしていた釧公大イレブンも一緒にガッツポーズが出ていました。そして、試合終了。番狂わせに泣いて喜ぶ釧教大と、自力優勝が消えた事実を受け止められない茫然とした表情の旭川大イレブンが対照的でした。

まさかまさかの連敗で逆に優勝が遠のいた旭川大。木崎監督は「この2試合とも偶然の負けではなくて、必然の負けでした。相手も素晴らしい戦いをしました」と肩を落としました。3部参入1年目とはいえ、指導者、選手ともに勝たなければいけない宿命とプレッシャーを背負っていたと思います。「確かに(選手に)プレッシャーはあったとは思いますが、後半を見てわかるようにチームがバラバラ。サッカーの質とは別の問題があるのかも知れません」とメンタル部分にも課題を求めました。結果を出し続けることで、大学が人工芝グラウンドなど施設の強化を図る計画もあったようですが「これでは難しいですね」と木崎監督。「3部で3敗もしたら優勝は無理です。勝たせてあげられなくて、自分自身にもガッカリしています」と落ち込んでいました。

同郷である釧教大のアシストを受け、引き分け以上で優勝という大チャンスが巡ってきた釧公大。ラストの3試合目で旭川医科大(以下、旭医大)と対戦しました。釧公大は3部では常に上位争いを演じながら2部との入れ替え戦となる2位以内に入れず、万年3位の状況でした。このEAST最終戦がまさかの大舞台となります。有名校出身選手は不在で、大滝功一監督は「部員の皆はサッカー人生で最後かも知れない晴れ舞台」という状況。試合開始から傍目でも分かるほど、動きが硬いと感じました。状況が一変したのですから。無理もありませんね。そして硬さが取れないうちに前半26分に失点。また、ドラマが展開されるのかと思いました。しかし、その1分後の27分にゴール前左サイドからMF笠原宏太選手(3年)が左足を振りぬき同点弾を決めます。「あのゴールで気持ち的に落ち着くことができました」と北村惇平主将(3年)。その後は押し気味に攻めながらも、逆転することができない釧教大。1-1で迎えた後半は、リスクを負うことはせず、「失点したら意味がないので、セーフティーに試合を運びました」(北村主将)。CKやFKなどセットプレーでもゴール前に選手を割かずに、守りの選手を残し、引き分けでも良しとする、現実的な戦いを展開しました。そして試合終了のホイッスル。まさかの大逆転優勝に北村主将は「こんなのは初めての経験。最後まで下を向かずにやってきたことがこのような結果につながったと思います」と素直に喜びます。そして「とにかく仲が良くて学年の垣根もないチーム」と北村主将はチームを評します。大滝監督は「旨い選手は1人もいないですが、本当にいいチームです。個人のミスを責めるのではなく、励まし合い、全員で補い合うことができるチーム。先輩たちが伝統を作ってくれたのも大きい」と笑顔を浮かべました。旭川大相手にも「強いのは分かっていましたが、勝てないチームとは思っていなかった」といいます。このチーム力とメンタル力がわずかに旭川大を上回ったのかも知れません。

EAST優勝が決まりましたが、29日にはWEST優勝の北海道教育大学札幌校(以下、札教大)との順位決定戦が待っています。勝ったチームが2部自動昇格、負けたチームは2部7位と11月5日に入れ替え戦に回ります。3部は昨年は1リーグ制だったため対戦があり、引き分けています。「力関係は分かっています。全力で戦って2部昇格を勝ち取りたい」と北村主将は意気込みました。個人的な見立てでは、釧公大と札教大はまったくの五分だと思うので、熱い戦いとなりそうです。

それにしても、16、22日の3部EASTはサッカーの面白さを堪能できました。東農大、釧教大の選手にはラストの試合に賭ける学生の気持ちや底力のすごさを感じさせてくれました。これまでも繰り返し述べてきましたが、気持ちの入った試合は、技術やレベルを超越した興奮と感動が時に表出します。まさに今回がそれでした。旭川大の皆さんには酷な経験でしたが、これを糧により良いチームとなって来季に登場することを願っています。

さて30日には2部と1部の優勝が決まります。1部は1位・岩教大と2位・札大が勝ち点1差で対戦。2部も1位・北星学園大と2位・北大医学部が勝ち点差1で直接対決を迎えます。今年度の学生サッカーのクライマックスは火花散る一戦になること間違いなし。北海道のアマチュアサッカーファンにはぜひとも注目して欲しいですね。
学連写真①.JPG
学連写真②.JPG
学連写真③.JPG
学連写真④.JPG
学連写真⑤.JPG
学連写真⑥.JPG
学連写真⑦.JPG
▽写真説明
①釧教大-旭川大戦、アディショナルタイム2分で釧教大のFW波原が劇的決勝弾を決める
②決勝点に喜ぶ釧教大イレブン
③敗戦に肩を落とす旭川大イレブン

⑤釧公大-旭医大戦、前半27分に釧公大MF笠原が同点弾
⑥同点弾に喜ぶ笠原
⑦優勝を決めホッとした表情の釧公大

キムケンの大学サッカー応援コラム2016年度⑥

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。ご無沙汰していましたが、今回は21日に行われた第34回知事杯全道サッカー選手権の決勝をレポートいたします。第96回天皇杯全日本サッカー選手権の出場権をかけた、決勝戦は学連所属の北海道教育大学岩見沢校(以下、岩教大)と、北海道大学(以下、北大)の対戦となりました。学連が北海道アマチュアサッカーを引っ張っている証明ともいえるでしょう。

岩教大は6日の総理大臣杯では1回戦で関西1位の関西大(以下、関大)に0-6と大敗を喫し、その経験をどう再スタートに生かすか注目されます。対する今季好調の北大は、リーグ戦、そしてこの知事杯と札大を連破する快挙を成し遂げ、準決勝では社会人の強豪、札幌蹴球団を撃破しての決勝進出と勢いに乗っています。しかし、岩教大とのリーグ戦は、真っ向勝負を挑み、0-5と粉砕されています。個人能力とパスワークで勝る岩教大に対しいかなる戦略を立てリベンジに挑むか、北大の立ち上がりに注目しました。

北大のストロングポイントはチームとしてのまとまりと、前からの激しいプレッシングです。そのため、どんなチーム相手でも、セカンドボールの競り合いを中心とした肉弾戦になります。しかし、この日は前回の真っ向勝負での敗戦で力差を感じたのか、試合開始から、持ち前のプレスにはいかず、ブロックを作ってカウンターを狙う展開に持ち込みます。「前半は0-0で耐えて後半勝負。ブロックを作って、ボールを奪えたらショートカウンターを狙う作戦でした」と北大の桜岡直也主将(4年)。岩教大にとってもこれは予想外で、単調な攻撃でブロックを崩すことができず、むしろ北大がゴール前にボールを運ぶ展開になりました。

攻めあぐねる岩教大ですが、23分、右FWの加藤大登選手(3年)が中央に切れ込み相手DFのクリアを広いミドルシュート。ほぼゴールマウス真ん中のコースでセーブできるかと思いましたが、スリッピーナグラウンドにバウンドしたシュートが思いのほか伸びたのか、北大のGKがセーブしきれずにゴールに吸い込まれます。この先制点でゲームが動くことになります。ゲームプランが崩れた北大は前に出ざるを得なくなりました。対する岩教大は、前半は無理をせず、DFラインからゆっくりボールを回し、北大のプレスを交わしシンプルにDFラインの裏を狙い、時にサイドチェンジを織り交ぜながら北大を揺さぶります。「サイドチェンジで振られるのは割り切っていました。ボールを持たれても回させてる状態にしたかったけど、前半の後半からは回されている展開でした」とDF本岩直樹選手(3年)は振り返ります。

前半4-2-3-1のシステムだった岩教大は、前半ボランチだった小泉洋生選手(4年)を前に上げ4-3-3に変更します。「小泉がもらいたがってボールを後ろで受けるためにDFラインが上がらないので、そこを修正するため」と越山賢一監督は説明します。よりコンパクトになった岩教大は、素早い寄席で球際の競り合いも制し、北大の攻撃の芽を摘み、単調な縦パスを蹴らせる状況に持ち込みます。逆に奪ったボールは素早くショートカウンターで手数をかけずにシンプルにゴール前まで運び、空いたスペースには後ろから2人目、3人目と走りこんで攻撃の形を作ります。後半13分も中央で小泉選手がこぼれ球をミドルシュート。これもGKがセーブミスで試合の流れを大きく引き寄せる2点目を決めます。「グラウンドの状況で北大のGKが不安定だったので積極的にシュートを打っていこうとは話していました」と小泉選手。その6分後の19分には中央からドリブルで持ち込んだ小泉選手のシュートをGKが弾きますが、こぼれ球をFW小笠原光研選手(2年)が頭で押し込んで決定的な3点目を叩き込みます。27分には右サイドからFW加藤選手のグラウンダーのシュートが左ポストに当たり、跳ね返りを途中出場の浅利俊哉選手(3年)が冷静に決めダメ押し。そのまま4-0の快勝で3年ぶり3度目の天皇杯出場を決めました。

「内容は悪くなかったけど、あと2,3点取れるチャンスがあった。そこをきちんと決めないと。北海道で勝つのは当たり前になってきています。自分たちは全国でどのように戦うかを詰めていかなければいけない」と小泉選手。総理大臣杯で関大に大敗。「関西や関東のチームにフィジカル面で勝てないのはわかっていたのに何もできなかった」と言います。全国では技術以上にフィジカル面での差が顕著で、北海道にはないプレッシャーをかいくぐるパスワークと、数的優位を作るために相手より走ることが必要だと改めて痛感したようです。また、大臣杯後は少ないチャンスでもゴールを決めるために、「グラウンダーでコースを突くシュートを練習させてきた」と越山監督は言います。最後の4点目などはその成果が出たゴールでした。天皇杯では27日にJ2のジェフユナイテッド千葉と相手のホーム、フクダ電子アリーナで対戦します。「厳しい試合だけど、最初から負けるつもりはない」と小泉選手。全国で勝つ、という命題を背負う岩教大。その意味では勉強にもなり、願ってもない相手となりそうです。

対する北大は、先制点をあっさり奪われたことでゲームプランが崩れてしまったのが痛かった。「バイタルエリアを使われて先制されたのはこっちのミス。先に点を取りたかったです」と桜田主将。最後まで攻撃の形が作れず、シュートはわずか3本という結果に。「岩教大の中盤のスペースを突こうとしたけど、岩教大の寄せが早くて、球際の勝負で勝てずボールを奪われた。最終的に動かされて走り負けてしまった」とも振り返ります。リーグ戦に続いて完敗を認めざるを得ない結果に。しかし、厳しい試合を勝ち抜き、決勝まで進んだことは、北大サッカー史に残る快挙のはずです。監督がいない学生だけのチームとしては鍛え上げられ、規律もしっかりした素晴らしいチームだと思います。リーグ戦前期でも開幕から4連勝で旋風を巻き起こしました。「ここまで来られたことは自信になるし、胸を張っていい。球際の勝負と運動量で負けないように、鍛え直してリーグ戦でリベンジします」と前を向きました。リーグ戦後期(9月18日)でもリーグ戦を盛り上げてくれるはずです。
知事杯01.JPG
知事杯02.JPG
知事杯03.JPG
知事杯04.JPG
知事杯05.JPG
知事杯06.JPG
▽写真説明
①前半23分、岩教大FW加藤が先制点を決める。
②加藤の先制点にベンチメンバーも祝福
③後半13分にMF小泉が2得点目
④同19分、FW小笠原が頭で押し込み3点目
⑤同27分、途中出場のFW浅利がダメ押しの4点目で大喜び
⑥天皇杯出場を決め喜ぶ岩教大部員とスタッフ

キムケンの大学サッカー応援コラム2016年度⑤

タイトル:今後のリーグを占う“2強対決”は岩教大が予想外の大勝!

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。北海道も夏らしくなってきました。と言っても朝晩はまだ寒いぐらいですが。学生の皆さんは夏休みに入ったのでしょうか?短い夏、そして短い青春時代を楽しんでほしいものです。さて学生リーグも前期が終わろうとしています。今回は24日に行われた札幌大学(以下、札大)と北海道教育大学岩見沢校(以下、岩教大)の“頂上決戦”をレポートします。この試合は雷で中止となった6月25日4節の延期分となります。これが両者にとってリーグ前半戦のラスト試合となります。

総理大臣杯決勝以来、約2か月ぶりの対戦。前回は札大が個の力と決定力で上回り3-1と快勝しています。今回は互いに就職活動や実習などでレギュラー選手の一部が欠ける中の試合となりましたが、札大は従来の4-3-3(4-2-3-1)で挑んできたのに対し、岩教大は札大への雪辱のため、いくつかのコンバートとシステム変更を行いました。基本は4-3-3ですが、中盤3枚のスタートポジションを変更します。これまでは奈良創平選手(4年)をアンカーに置き、前にインサイドハーフを2人という配置でしたが、今回はDF深井祐希(3年)をボランチに上げて奈良選手と並べ、トップ下に小泉洋生(4年)というポジションになりました。4-3-3というより4-2-3-1でしょうか。また、右サイドバックに初出場の1年生・遠藤祐馬選手を抜擢しています。

試合は前半の序盤から一進一退ですが、目立ったのは岩教大の出足の早さ。セカンドボールや、札大のMF平塚悠知選手(2年)やキャプテンのボランチ池田一起主将(4年)など危険なパス能力のある選手などを中心にボールホルダーには、素早いチェイシングと、1人が抜かれたら2人目と厳しいプレスをかけ、自由にパスを出させません。「札大に負けるときは長いボールを蹴られて、間延びしてしまい、セカンドボールを拾われる。そんな展開にしたくなかった」と奈良主将。蹴られる前に奪ったボールは小泉選手を中心にシンプルにサイドからチャンスを作りますがシュートまではなかなか至りません。対する札大も、前記の2人が前を向いてボールを持った時は前線に鋭いパスからチャンスを作りシュートまで持ち込みます。ただ、守備的MFを2枚に増やした岩教大がうまくケアしているので、パスコースやスペースを消され、パスを出すのに窮屈な印象です。

時間が進むにつれて、札大の選手たちが岩教大のハードタックルにイライラを募らせるようになります。確かに岩教大のタックルは後ろからやレイトチャージもないわけではなかった。これは主審がうまくゲームをコントロールできていない面もありましたが、ジャッジに対する異議や文句が目立ち始めます。そして、ひとつの事件が起きました。前半28分、札大の指揮を執る砂川誠コーチが主審への異議のため退席処分を受けます。「プロでも退場はありません。こういうのは初めて。自分はそんな異議を行ったつもりはないです」と試合後に振り返りましたが、学連の役員でも「退席は記憶にない」という異例の処分でした。
この退席に札大の選手は明らかに動揺の色を見せます。

砂川監督退席から4分後、岩教大がCK崩れからのセンタリングにDF重森剛司(3年)が頭で合わせて、待望の先取点を挙げます。札大は終始、岩教大のチェイシングにイライラし通しでしたが、池田主将が「(主審に文句を)言うな!言うな!」と選手を落ち着かせ、試合に集中させようとしていました。そのまま前半終了。

後半、札大はコンサドーレ札幌の強化指定選手になる噂もあるDF按田頼選手(1年)を右MFに上げ、池田主将をセンターバックに下げることで3バックにして攻撃の意志を強めます。しかし、逆に守りの要が不在のためかマークが甘くなり後半6分、小泉選手を基点にFW加藤大登選手(3年)がグラウンダーの左クロス。走りこんできた奈良選手が冷静にゴール左隅に決め追加点を奪います。その3分後はFW佐賀俊之輔選手(2年)のシュートがゴールバーに当たり、そのこぼれ球を加藤選手が冷静に決め3点目。これで札大の選手の気持ちが切れてきたように見えました。さらに1分後にもFW小笠原光研選手(2年)がさらに追加点。わずか4分で怒涛のゴールラッシュです。

単純に札大の守備が甘くなったからだけではなく、シーズンの序盤に目についた、縦パスで両サイドを単純に走らせる攻撃からの脱却も大きいと思います。今は切り替えが早く、両サイドからダイアゴナル(斜め走り)な動きでマークをひきつけ、空いたスペースに後ろからも積極的に飛び込んでくる、そんな攻撃になってきました。「岩教大は攻撃に関しては決め事は作らないですが、みんなで積極的にコミュニケーションを取って、連動するようになってきました」と奈良主将は話します。7月に入り目に見えて得点力が上がってきたのは、偶然ではなさそうです。

しかし、札大もその2分後の12分、左CKからFW稲田浩平選手(4年)のヘディングシュートで1点を返しますが、反撃もここまで。岩教大の新布陣に平塚選手とFW新田裕平選手(2年)のホットラインを中心とする攻撃は封じられ、逆に岩教大は30分には右CKからDF高橋純平選手(4年)がヘディングを決め、40分にも小泉選手のアシストで小笠原選手がこの日2点目のゴールを決め、岩教大が6-1という予想外の大勝で、頂上決戦は幕を閉じました。

越山賢一監督は「札大戦のために、今回は前回の函教大戦で試していたオプション。それがうまくいった。特に守備が安定していた」と笑顔で快勝を振り返ります。また単純に、相手より走る、そして1対1、球際の勝負という気持ちの面でも上回っていました。対する札大は、外から客観的に分析する指揮官が退席した影響は大きかったことでしょう。しかし、それにしても覇気がなかったように見えました。個人的な感想ですが、試合前の練習から緩んだような雰囲気が感じられ、その辺のメンタルの違いも勝敗に左右したように思えてなりません。気持ちは8月6日の総理大臣杯に向いているのでしょうか。砂川コーチは「技術的な面は札大の方が少し上だと思うけど、相手より走る、組織としてみんなで頑張るとか、そういう面は岩教大さんの方が鍛えられているのかも」と振り返ります。そして「集まれと言った時間に集まらない」と、意識の低さも指摘しました。間違いなく個の力では突出している札大。北海道では厳しい試合をなかなか経験しないだけに、劣勢に陥った時の修正能力やメンタル面が今後の課題として浮かび上がってきました。少しでも気を抜くといかに札大でも手痛いしっぺ返しを食らうという、良い教訓になったのではと思います。

さて、両チームは31日の知事杯を経て、来月6日から大阪などで開催される総理大臣杯に出場します。初戦で札大は関東第5代表の筑波大、岩教大は関西第1代表の関西大(関大)と対戦します。いずれも強敵であることは間違いありません。札大の砂川コーチは「暑い中、どのように戦うか。守る時間が長くなると思うけど、プランを考え中です」と話します。また、岩教大の奈良主将は「春の関西遠征で対戦して、関大のセカンドかサードチームに負けています。組織力がすごく高くて、うまいというより強いという印象。日本で有数の強いチームと戦えることを楽しみたい」と抱負を語りました。灼熱の中、水分補給や栄養に気を付けての健闘を祈ります。
岩教大①.JPG
岩教大②.JPG
岩教大③.JPG
岩教大④.JPG
岩教大⑤.JPG
岩教大⑥.JPG
岩教大⑦.JPG
▽写真説明
①先制点を決めたDF重森を祝福する岩教大イレブン
②後半6分、MF奈良が2点目を決める
③歓喜の奈良を祝福する岩教大イレブン
④岩教大はFW加藤が3点目を決める
⑤MF小泉が加藤に飛びつき祝福
⑥後半30分にはCKからDF高橋が5点目を決める
⑦同40分にはFW小笠原が2得点目となるゴールを決める

キムケンの大学サッカー応援コラム2016年度④

◎1部で波乱!北翔大が昨年覇者・岩教大を撃破!

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。今回は18日の1部前期3節を撮影、取材に赴きました。雨上がりのさわやかな夏晴れとなった岩教大人工芝グラウンドでは熱戦が展開されました。近年リーグ全体のレベルが上がり、札大、岩教大、道都大でも、他チームに敗北するシーンもさほど珍しくなくなりました。この日も波乱が起きました。

昨年王者の岩教大は北翔大と対戦します。前半からゲームを支配するのは岩教大。大きなサイドチェンジと、DFラインからサイドチェンジや縦パスから3トップの両サイドを裏に走らせて、トップの佐賀俊之輔選手(2年)にくさびを当ててからの展開で押し込みます。しかし、しっかりとブロックを作ってカウンター攻撃を狙う北翔大のディフェンスを崩し切れません。何より、この日は中盤のダイナモで替えの効かない存在である小泉洋生(4年)を怪我で欠いたのが大きいのか、中盤での運動量やダイナミズムに欠けるため、北翔大の守備網にかかります。逆に北翔大もボールを奪ったあとはシンプルにボールをつないで、ゴール前までボールを持ち込みシュートチャンスを作ります。岩教大ペースながらチャンスの数は同じぐらいで、北翔大がプラン通りの試合運びという印象です。北翔大の小倉涼主将(4年)は「うちは4-4-2で岩教大はうちの(中盤)ボックスを突破してくると思ったので、そこはしっかりケアしようと。それなりにうまくいったと思います」と話します。

静かな前半と打って変わり、後半に試合は一気に動きます。後半開始早々の3分、岩教大のFW明比祐樹選手(3年)のシュートのこぼれ球をFW佐賀選手が押し込み先制します。攻めあぐねながらも待望の先取点に、ペースは一気に岩教大化と思われました。しかし、同21分、ボランチ前田和希選手(2年)が約40mのドリブルで一気にゴール前まで迫りシュート。GKが弾きますが、こぼれ球をFW浅井勇気選手が左足で押し込みます。さらに4分後の25分、浅生拓哉選手(3年)のフライスルーパスにMF牧田柊斗選手(3年)がDFラインの裏に抜け出しGKと1対1に。飛び出てきたGKを交わして、無人のゴールに蹴りこみます。鮮やかな逆転劇に喜びを爆発させる北翔大イレブン。ですが試合はこれで終わらない。

31分にDF深井祐希選手の縦パスに反応したFW志田尚弘選手(4年)が決め同点に追いつきます。ころころと展開が変わり、こうなるとどちらに試合が転ぶか分かりません。その3分後、ゴール前で浅生選手が、ゴール前中央のMF鳴海祐太郎選手(2年)に預けペナルティーエリア内に侵入。巧みにボールをキープした鳴海選手は絶妙のスルーパスを浅生選手に送り、シュートは右隅に吸い込まれました。再度、王者を突き離し、意気上がる北翔大。残り10分以上は岩教大の放り込みに、北翔大が耐える展開。綺麗なサッカーが信条の岩教大ですが、残り2分を切って、187㎝のDF重森剛司選手(3年)をFWに投入。しゃにむにゴールを狙いましたが、ゴールには至らず。痛い敗戦を喫しました。

逆に北翔大は開幕3連勝。「いつもはリーグ中盤に岩教大や札大と当たって負けているので、3連勝は珍しい」と小倉主将。谷木竜平監督は「岩教大に小泉君不在が大きかった。いつも彼のプレーに走りまわされて、うちはスタミナが切れていました。当たった時期が良かった」と謙遜しますが、岩教大相手に3点を奪っての逆転勝ちは地力の証明です。北翔大はリーグで中位や下位に位置する地味な存在ですが、展開がハマった時は番狂わせを起こすチームです。今季も総理大臣杯の準々決勝で道都大を2-1と破っています。要因は徹底したリアクションサッカーにあるでしょう。「毎回、相手の戦い方を研究して、1週間はそれに合わせた練習で臨みます。リアクションに意見のある人もいるかと思いますが、弱者の論理というか、勝つために最善の策を取っているのが北翔大のサッカー」と強調します。小倉主将も「監督がすごく考えてくれていますし、リアクションが北翔大のサッカーだと思っています」。まずは相手の光を消すことが“自分たちのサッカー”なのです。

もちろん、これは意見が分かれるところでしょう。観る方はかつてのバルセロナのような究極のポゼッションサッカーや、バイエルン・ミュンヘンのように個と組織が高いレベルで融合したダイナミックなサッカーを求めます。特にポゼッション信仰が強い日本では尚更で、筆者もそうです。しかし、弱者には弱者の論理がある。良いサッカーをしても勝たなければ意味がない。極端に言えば100本シュートを打たれ99%支配されてもゴールを割らせず、1本のシュートが決まれば勝てるのがサッカーです。ブラジルW杯のように攻撃に特化した“自分たちのサッカー”にこだわり、相手のレベルも考えずに惨敗した日本代表もいれば、シメオネ監督率いるアトレチコ・マドリードが、守備を中心とした組織力とインテンシティー(プレー強度)を究極まで高めて、レアル・マドリードやバルサ、バイエルンなどのスター軍団とは必殺のカウンターで伍して戦っている例もあります。

話がそれてしまいましたが、北翔大の戦術も、サッカーのひとつの形です。どんなチームでも自分たちより圧倒的に強いチームと対したときは勝つためにはリアクションにならざるを得ないでしょう。バルセロナが到達した美しく勝つサッカーは、ひとつの理想郷ですが、真逆のリアリズム溢れるサッカーで大番狂わせを起こす。これもサッカーの醍醐味だと思うのです。

今季の北翔大は昨年度のレギュラーが半分残り、そしてベンチ入り選手以外の大会「Iリーグ」で昨年優勝した選手が入ってきているので、チームのやり方は統一され、「選手の流れ的には良いサイクルに入っています」と谷木監督も手ごたえを得ているようです。確かに、この日の2点目、3点目などはアイコンタクトでボールが来るのを予測していたかのように連動していました。チームのまとまりで、どこまで快進撃が続くのか注目していきましょう。

逆に心配なのは岩教大。東海大とスコアレスドローに続き、結果を残せていません。今回目についたのはディフェンスのもろさ。ディフェンスラインがいとも簡単に裏を取られ、あっさり失点するのが目につきました。「練習でも簡単に裏を取られることが目立つ。DFラインどうのこうのより、局面の1対1で負けている」と越山賢一監督。DFラインが簡単に攻撃にさらされているということは、その一歩前の中盤やチームとしての守備が連動していないということでしょう。距離感が悪く、局面で組織より個の守備に追われている場面が多いと感じました。中盤が3枚なので、守備には運動量と高度な組織的錬成が必要だと思います。アンカーの間を使われてしまうことが多いとも感じます。中盤を増やすなど、4-3-3以外のオプションを用意して戦術の幅を広げるのも良いかも知れません。いずれにせよ、次節は札大戦。リーグ連覇を目指す岩教大にとって早くも最大のヤマ場となりそうです。
北翔岩教①.JPG
北翔岩教②.JPG
北翔岩教③.JPG
北翔岩教④.JPG
北翔岩教⑤.JPG
北翔岩教⑥.JPG
北翔岩教⑦.JPG
▽写真説明
①後半21分、北翔大FW浅井が同点弾を決める
②同25分、北翔大MF牧田がGKを交わし逆転弾を決める
③両手を突き上げ喜ぶ牧田
④後半31分、岩教大のFW志田が同点弾決める
⑤決勝弾を決め飛び上がって喜ぶ北翔大FW浅生
⑥浅生を祝福する北翔大イレブン
⑦戦い終えて喜ぶ北翔大イレブン

キムケンの大学サッカー応援コラム2016年度③

キムケンブログ番外編:岩教大・阿部さんに聞く『Jリーガーのセカンドキャリアとしての大学・大学サッカーの意義』

こんにちは北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。大学サッカーも総理大臣杯が終了。2部、3部リーグが11日から開幕し、シーズン真っ盛りになってきました。今回は番外編ということで、元横浜Fマリノス、ベガルタ仙台で所属していた元・Jリーガー、北海道教育大学岩見沢校の阿部陽輔さん(26)にタイトルのテーマでお話しを伺いました。インタビュー形式なので少々長くなると思いますが、堅苦しくありません。25歳の人生経験豊富な大学2年生としてのお話をどうぞお楽しみ下さい。
阿部さん1.JPG
――阿部さんは2009年にマリノスに加入し、2011年シーズン途中で退団、1年近いブランクを経てベガルタ仙台に加入しています。最後は当時JFLのツェーゲン金沢でキャリアを終えています。高卒で実績のない選手のセカンドキャリアというのは本当に大変だと思いますが。

(阿部さん、以下、阿)そうですね。高卒となると最低限の資格も持っていないので、世間がどう見るかといったら、「サッカーがうまかった子でしょ」というだけの感じになりますよね。就職しても特別なスキルがあるわけでもないですし、ほんとサッカーだけやってきたので。

――マリノス時はシーズン中に辞めましたが特別な理由はあったのですか?

(阿)あの時期はもう精神的に参っていました。うまく言葉にできないですけど、何してもうまくいかない時期でした。怪我もしていたし、若かったですけど(当時21歳)、人生の底辺をずっと歩いていたようなイメージですね。人生の浮き沈みはこれからも来ると思いますが、第一波はまずそこだったような気がします。非常につらかったです。

――高卒の選手が辞めた後は大変だと思います。プロ野球でしたら、ドラフトに入った選手は退職金の前払いの意味合いもあり、数千万から1億という契約金をもらえます。サッカーはそのような制度がないですし、クラブやJリーグ選手会などからのお金の支給などありましたか?

(阿)サッカーは高卒加入はC契約(年棒480万円以下)と決まっているので、満額いただいたのですが、やっぱりプロ野球と比べたら少ないですよね。辞めた時は頭は真っ白でしたから、自分が何に適職で何をやったら良いかまったくわかりませんでした。社会という未知の世界に裸のまま投げ出されたのと一緒でした。親にはかなり迷惑をかけたと思います。無というのはあの時のことだと思います。
――Jリーグの選手会も2012年から労働組合組織になり、Jリーグと団体交渉ができる組織になりました。今は選手会としてJリーグ所属選手に毎月積み立て金を払ってもらい、辞めた時に戻すような形を聞いたことがありますが、当時はどうでしたか?

(阿)ぼくのいた時期から選手会が活性化していきましたが、当時はそのようなものはありませんでした。ですが、選手会から引っ越し代として5万円ほど頂いた記憶があります。確か所属年数などで金額が決まっていた気がします。

――マリノスを辞めたあとは何をしていたのですか?

(阿)アメリカに1年近く留学していました。英語もまったく話せないので、絶対取得しておこうと思って。語学留学の学校は決まっていたのですが、後はまったく無の状態。鞄ひとつで荷物まとめてすぐ行きました。アメリカは魅力的で、自分の中で転機となり、人生観が変わりましたね。自分はサッカーしか知らなかったので、サッカー以外にこういう世界があることを初めて知りました。自分がどれだけ狭い世界に生きていたかを思い知らされました。衝撃的でした。

――それで、もう一回サッカーをやろうと思ったのは?

(阿)まず、サッカーのことは一切、考えていませんでした。サッカーなんて嫌いだし、若い自分は「俺をこんな風にしたサッカーなんて」という気持ち。ですが、アメリカにいる時に、アメリカの4大スポーツ(野球、バスケットボール、アイスホッケー、アメリカンフットボール)をすべて観に行きました。エンターテインメント性がすごくて、観られる側の人間から、観る立場に変わってスポーツって面白いと改めて思いましたし、そこで変化が生まれました。一番、面白かったのはNHL(アイスホッケー)だったかな。カルチャーショックでしたね。

――ベガルタに入るきっかけは?

ちょうどニューヨークにいった時、「帰国したらサッカーをやってもいいかな」と思っていた時期に、ベガルタの佐藤洋平GKコーチ(元コンサドーレ札幌にも所属、現U-23日本代表GKコーチ)から直接電話がかかってきて「もう一回サッカーやってみないか」と誘われたんです。その時期は現U-23日本代表の手倉森誠監督でしたが、仙台のサッカーはメチャクチャ楽しくて。マリノスでの厳しい経験があったからだと余計そう思うのですけど。そして楽しかった分、試合に出たいという思いがすごく強くなりましたが、仙台が上位争いをしていた時期ですしGKも林卓人さんだったから壁は厚かったですね。

――2013年に当時はJFLのツェーゲン金沢に移籍します。7試合に出場しています。

(阿)試合にも出してもらって、勝てなかったんですが、左足を怪我してしまって、歩けなくなったんです。これは運命だったと思いますが、ほかのGKに代わって連勝し始めた。連勝したGKは変わらないですから、そこからは出られなかったですね。こんなもんだなと思って。チーム状況も合わないと思って、金沢との契約を全部切って、暮れにタイにトライアウトを受けに行きました。12月から翌年の4月までタイにいて、ダメだったらそこで辞めようと思って、ダメでした。

――その後2014年もブランクがありますが何をしていましたか?

(阿)地元の旭川に戻って1年間、ひたすら勉強してました。大学に行くかどうかは、両親にも相談して、やっぱり資格は取った方がよいと思って。センター試験の勉強というより社会人入試なので、TOEICなど必要なので、英語を極めようと思うぐらい勉強しました。あとは小論文など、むちゃくちゃ勉強しましたね。
阿部さん2.JPG
――岩教大に入ろうと思ったのは?

(阿)まず、体育科でいくしかないじゃないですか。社会人入試と体育科がある大学を選択します。また転々とするのが嫌だったので、岩教大は生まれ故郷に近いし、新潟大、山形大も受かったのですが、地元に戻って基盤を作りたい気持ちが大きかったです。

――大学に入って現在の目標は資格を取って、指導者になりたい?

(阿)そうですね。今のところ指導者になりたいという気持ちです。去年、入学したのですが、去年は試合に出たいとか、選手にまた戻りたいとか、気持ちがフラフラしていました。でも3月にデンソーカップ(大学の地区連盟の選抜同士が対戦する大会)に北海道・東北選抜のコーチとして帯同しました。完璧に指導者で行きましたので、そこで気持ちが変わりました。指導するのが楽しいなと思い、そこで気持ちが定まりました。指導者ライセンスはC級を1月に取得し、今年はB級を取得するつもりです。

――実際、北海道の大学サッカーに関わるようになって2年目ですが、率直な感想は?

(阿)岩教大しか見ていないので、見ている範囲で言います。僕がプロ目線でいうのもおこがましいですが、その目線から言うと、まだヌルいと感じますね。シュートはずしてもヘラヘラしちゃう所や、細かいミスをしても、それを許しちゃう面がある。そこは(北海道の)どこのチームでもあるような気がします。そういう雰囲気を見るとちょっと腹立たしいですね。ぼくはGKを見ているので、うちのGKはみんなしっかりやっているとは思いますが、GKも1人では守れない。そういう状況を見ると、やっぱりしっくりこないですね。

――試合中も笑いとか起こって締まりがない時も時折見られます。

(阿)1回、プロの練習を見てもらいたいなと思いますね。僕もプロの練習で死ぬかと思うぐらい鍛えられた。だから「何をヌルいことをやってんだ!」と思うこともあります。まあ、分からないのが当たり前なのかも知れないので、あまり言わないようにはしていますが。

――北海道でも札大や岩教大だったら、毎年、プロを目指そうという選手も出てくると思います。そういう選手とほかの選手の意識の違いなどが大きいのかな、とは思います。

(阿)大分なくなっているとは思いますが、意識が高い選手がいたら、浮いちゃう環境があると思います。プロを目指して頑張っている選手は高い意識を持っているので、周りにも要求するじゃないですか。そうすると浮いちゃうという環境は、僕は間違っていると思います。北海道全体のクオリティーを上げるためにはそういう意識や環境づくりの変化も必要なのかも知れません。少なくとも今の僕と同じ2年生、そして1年生には少し厳しめにやっているつもりですけどね。

――高校で厳しい指導をされて、高校サッカーで燃え尽きちゃう選手も日本には多いと思います。また大学でも学業はもちろんですが、遊びや恋愛など誘惑も多いし、生活や学費をかせぐアルバイトなど、サッカー以外のことを優先してしまう環境もあると思います。

(阿)ホントだったら大学サッカーをやっていなかったという選手もいますからね。うちは半分推薦で入った選手、半分が一般入試という状況。その中でどうやって同じベクトルに向けていくかという課題はありますよね。

――私もそうでしたが、大学って人生で一番気が抜ける時期なので、仕方ないのかなとも思うのですけどね。

(阿)逆に僕のような入り方の方が、勉強するぞ、という気持ちにはなりますよね。でも入学して選手を見ていると考えさせられることもありますよね。「暇で何もやることがない。阿部さん、英語教えて下さい」と言ってくる選手もいます。暇すぎると考えさせられる。それがいいことなのかなとも思いますね。
阿部さん3.JPG
――Jリーガーのセカンドキャリアという意味でも、阿部さんはかなり特異な道をくぐり抜けてきますよね。高卒の選手がセカンドキャリアで大学進学や大学サッカーというのは重要な選択肢のひとつだと思いますか?

(阿)大学は社会に出るジャンクションと言われますが、本当にそうだと思います。でも、自ら動かないと何も得られない。動くとそれなりに教えてくれる。意識の持ちようで差が出てきます。バイトとか社会経験も積めますし。僕もバイト経験は一切なかったですからね。実は金沢時代にバイトを初めてやりました。年棒100万円、月8万円の契約でしたから、バイトしないとやっていけなかった。パチンコ屋の休憩室にある食堂のシェフをやっていました(笑)。高卒でお金もらって金銭感覚が狂っていたので、1万円をかせぐ大変さを思い知りました。大学でもバイトを掛け持ちしていますから。

――高卒の人が戦力外になって、変なプライドを捨てきれずに大学とか社会になじめずダメになっていく人もいるじゃないですか。やっぱりそれを捨て去るのは大変ですか?

(阿)そうですね。自分では持っていないつもりですが、やっぱり普通の生活に戻ると、プライドが高く見えてしまうという感じはありましたね。選手時代は自分中心に考えてしまうので。それが、周りに合わせないといけない環境になると、周囲への配慮とかが問題になるなとは感じましたね。

――北海道の大学サッカー全体のクオリティーを上げていくために、阿部さんのような存在も必要だと思うのですけど。

(阿)まあ、僕のできることは今はGKとかフィジカル練習ぐらい。最近はDFラインにも関わらせてもらえるようになってきました。でも、今度は学連のGKを集めて、研修会をやろうと技術委員長と話しています。そういうかかわりは持ちたいと思っています。旨くなりたいという気持ちは皆ありますが、GKコーチなどは大学にいないし、環境とかに左右される状況なので、選抜などで指導すると、みんな目がキラキラしているんですよね。そういうのは楽しいですし、やりがいを感じています。中学生や高校生も今は指導しているので、みんな可愛いですよね。

――そういう意味で遠回りしてもセカンドキャリアで大学を選んだのは良かった?
(阿)ホントに良かったですね。これしかないのかなと思います。ほかに選択肢があったとしても、働くか、どっかのクラブのコーチぐらい。タイではエージェントとか不動産業をやってみないかと誘われたりもしましたけど。ただ、やっぱり地元に地に足をつけて基盤を作る道を選んでよかったと思います。今はこの道が自分の天職だと思っています。大学生を教えるのも、勉強するのも楽しいですね。

――今はボクシングジムにも通っていますよね

(阿)ボクシングの練習を、キーパー練習に生かしたいと思っています。何個か発見があって、卒論にしたいなと思うぐらい。GKにパンチングボールを全力で打ってもらって、1か月でキャッチングスピードとかセーブ率がどれぐらい上がるか、試してみたいんですよね。また2014年は旭川で総合格闘技も習っていました。キックボクシングのキックは、GKのキックと動きがすごく似ているんです。サンドバッグを打たせるのも面白いなあ、とか考えています。

――プロやJFLで試合はあまり出られなかったけど、逆に苦労して培ったものがあると思います。その経験を大学サッカーなどに還元できる面とかはありますか?

(阿)天才でも何でもなかったので、考えながらプレーをしないといけなくて、悪くなった時の打開方法も考えないといけないですよね。悪い時は体が動かないし、焦って動こうとしてオーバートレーニング症候群になる。大学生にもいます。そういう選手に「いや、違う、1回、体を休めよう」とかは言えますよね。怪我も無理すると慢性化します。マッサージやメンタル面のケアとか、自分で模索してたどり着いたアイデアもあるので、そういう面では教えられると思いますね。基本的には選手に自分たちで考えさせるようにはしたいですけど。

――自分で大学に入ってみて、高卒Jリーガーのセカンドキャリアの大きな選択肢にはあなると思いますか?

(阿)越山先生に言われましたが、「大人の悪い部分は見せないでくれ」とは言われています。それは当たっていて、大人の遊びや、プロ選手としての甘い汁を吸って辞めた選手はたくさんいます。逆に選手の規範にならないといけないと思います。生半可な気持ちで大学に来て、変なことを学生に教えて悪影響を与えるのはダメだと思います。ちょっとでも、学生に還元できることがあるといいと思いますよね。高卒で辞めて大学入りなおそうという選手は、僕もそうですけど知名度がないですよね。1年生なんか自分の6歳年下で、僕がプロだったなんて知っている学生はいません。偉そうな態度を取ったら見透かされます。一人の人間として接した方がいいですよね。

――北海道の大学サッカーの競技レベルは?

(阿)関東や関西と比べるとまだまだだと思いますね。まず、サッカーを第一に考えていない人もいっぱいいますよね。バイトがメインになっていたり、そこは難しいですよね。大学生は金もないでしょうし。北海道全体の意識をもっと高く上げていかなければいけないでしょう。

――最後、話は変わりますが、マリノス時代は、中村俊輔のFK練習に付き合わされたと思うのですが、どうでした?

(阿)僕がマリノスの2年目の時に俊さんが戻ってきて、FK練習などの練習にお付き合いはかなりしたのですが、俊さんのキックは別格でした。ほんとに凄かった。ボールが生きています。蛇みたいな動きをするんです。ボールを取ったと思ったら消えている。あんな弾道を蹴る選手は俊さんしか見たことありません。やってて楽しいというか「捕れるわけない」と思ってました。捕れることもありましたけど、調子に乗ってきたら止められない。速くて落ちるから。バーを越えたなーと思ったら入っているので動くこともできない。あの人はホントに凄かったです。

【阿部 陽輔】1990年5月24日、旭川市生まれ。旭川実業高時代は北海道NO.1キーパーとして活躍。2009年に横浜Fマリノスに加入。2011年4月にシーズン途中で退団。2012年2月にベガルタ仙台の練習生として参加し、3月に正式に加入。翌2013年、JFLのツェーゲン金沢に移籍し、リーグ戦7試合、天皇杯1試合に出場。この年を持って現役を引退し、2015年から北海道教育大学岩見沢校に入学中。

キムケンの大学サッカー応援コラム2016年度②

北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。28、29日に総理大臣杯の準決勝、決勝が行われ、札幌大学(以下、札大)が北海道教育大学岩見沢校(以下、岩教大)を3-1で下し2年ぶり25回目の優勝を飾りました。今回は優勝、準優勝の2チームが8月6日からの全国大会に出場します。札大は京都・西京極運動公園陸上競技場で関東5位、2位の岩教大は大阪・ヤンマーフィールド長居で関西1位と対戦します。

決勝を戦った両チームは、近年、好勝負を繰り返すライバル同士。3強と言われた道都大が不振気味で、現在は2強となっています。勝敗だけでいうと、北海道の大学では一番のタレントが集まる札大に分があるのですが、そこは学生スポーツ。1年ごとにメンバーが変わり、さらにメンタルも大きく影響するスポーツ。昨年はこの大会で岩教大が4-0と歴史的大勝を収め、リーグ戦を合わせて2勝1分け負けなしという結果でした。

札大は準決勝で8-0と北翔大を一蹴し、岩教大は東海大のカウンターを狙う守備ブロックを崩せず1-0の辛勝。準決勝の内容の見立てでは、やや札大有利かと思われました。

システムは札大4-2-3-1(変則の4-4-2)、岩教大は昨年からの4-3-3で臨みます。試合は前半4分に早くも動きます。左サイドからサイドバックの岡部航大(4年)のロングパスにFW新田裕平(2年)がDFラインの裏を抜けGKと1対1となり冷静に決めます。この先制点で札大が勢いに乗るかと思われましたが、風上の岩教大も落ち着きを取りもどし、札大のプレッシャーにも負けず、ボールを持てるようになり、両サイドのFWの突破から札大ゴールに迫りますが、攻めが単調で札大のディフェンスを突破できず決定適ちゃんを作れません。どちらかというとボールを回させられているという印象も。一方の札大も岩教大にボールをキープされ、ロングボール主体になり、結局中盤でのヒリヒリした潰しあい、セカンドボールの奪い合いとなりました。その中で岩教大は22分に右CKを獲得、DF井端純ノ輔選手(3年)が左足から蹴り出されたボールは風にも押されて急カーブがかかり、直接ゴールネットに突き刺さりました。これで同点。両者の試合はただでは終わりません。
前半は1-1で終了。後半も激しい中盤の競り合いが続きます。ほぼ互角の展開ですが、少しずつ札大が押し込む展開となってきました。チームとしての力の差はほとんどないのですが、個人能力やフィジカル面で札大がやや勝り、最後はチャンスを作る能力、決定機をしっかり決める能力の差が勝負を分けることになります。

今季の札大は、昨年の1年生時からレギュラーだった、天才肌の平塚悠知(2年)、そしてFWの新田裕平(2年)というプロを目指せる有望株に加えて、コンサドーレU-18からDF按田頼(1年)も入部。彼もコンサドーレのトップ昇格の当落線上までいった選手なので、大学サッカーのレベルではスーパーな選手です。全身バネのような身体能力とキックの精度は一目見て分かると思います。これで、センターラインにしっかりとした軸が揃いました。また、レギュラー選手はほとんどが社会人の北海道リーグ1部に参戦している札大GP出身選手。社会人で1,2年生時に鍛えられたたたき上げの選手がトップに昇格し、毎年、選手の入れ替えを行う大学サッカーでも浮き沈みなく、一定したレベルを保つことに成功しています。

事実、力は互角なのですが、チャンスが多いのは札大でした。後半7分には平塚選手のミドルシュートがポストをたたくなど札大ゴールを脅かします。平塚選手が選手がボールをもつとほとんど奪われることなく、意外性がありかつピンポイントのロングパスを出します。特に新田選手との相性は抜群で互いにシンクロしています。ほかの選手も彼がボールを持つと素早く動き出すので、相手にとっては極めて厄介でしょう。

若干、札大押し気味ながら岩教大も一歩も引かない展開。これは延長もあるかと思われた後半42分、平塚選手の右サイドにいたFW稲田浩平(4年)へのロングスルーパスが通り、彼が見事なトラップでDFラインの裏を抜けゴール左スミに決めます。歓喜にくれる札大イレブン。「得点の70%は平塚のパス。自分のトラップもうまくいったし、狙ったところに決められました。昨年は0-4で大敗しているし、むちゃくちゃうれしかったです」と稲田選手も振り返ります。アディショナルタイムの49分にもセンターサークル付近にボールを奪ったボランチの池田一起主将(4年)がそのままドリブルで持ち上がりペナルティーエリア外からシュート。これが右ポストにはじまれますが、こぼれ球を途中交代のFW新堀幸一郎(3年)が決め、試合を決めました。

札大は今季からコンサドーレ札幌の“レジェンド”だった砂川誠氏が4月からコーチに就任。選手選考から戦術まで決める、事実上の監督となっています。今の選手にとっては子供時代のあこがれで、雲の上のような存在でしょう。試合を振り返って「今までの試合でしびれる展開、厳しい試合を経験しなかったのが不安だったが、3点取ってくれたし、良かったと思う」と結果を残せたことに一定の評価を与えます。現在、砂川氏は石屋製菓の総務部所属ですが、夕方から札大の指導を行っていて「石屋製菓からは、良い指導者となるための土台作りをしてほしい、と言われています。まず自分に指導者としての才能があるのかを勉強しながら確かめたいです」と話します。札大で目指すサッカーは「選手たちが楽しいと思うサッカー。戦術で固めるより、選手個人のインスピレーションを大事に、かつ皆がそのイメージを共有できれば」と語ります。砂川氏が現役時代に得意としていた相手の逆を突く、欺くプレー、サッカー。「そういうサッカーをするには、楽しいと思わないとできない」と持論を語ります。実際に、大臣杯の札大のサッカーは突出したタレントを中心に、それぞれのイメージが共有できれば、相手をほんろうし、ゴールに結びつくサッカーができています。6月18日には、平塚、按田選手をコンサドーレの練習に参加させます。「そういう橋渡しもできれば良いと思う」と砂川氏。初の指導経験が北海道の大学サッカーとなったことには「中にはプロを目指す選手もいるし、そうじゃない選手もいる。そのすり合わせが難しいですが、やりがいもあります。高い意識を持たせてやりたい」と語り、「大学サッカー全体でも、環境面など、クオリティーを上げていくために気付いたことは話していきたい」と抱負を述べました。札大は伝統校だけに指導者の評価もシビアな面はありますが、“レジェンド”がどのようなサッカーを札大に植え付けるか、大いに楽しみです。

一方、敗れた岩教大の越山賢一監督は「スコアそのままの差。今年のうちは決定力がない。札大はチャンスを作れる選手がいるし、決めるときにしっかり決める」と完敗を認めます。砂川氏のいうイメージの共有という意味では昨年の岩教大ができていました。だからこそ札大に完勝することができたのです。今季は「中盤3枚のポジション取りが悪く、低い位置でのパス回しになっている」と言います。そのため攻撃時にインサイドハーフの選手が3トップと絡めず、単調な攻撃に終始してしまっています。昨年は松本主将が絶妙のバランサーとなって攻守にアクセントができていましたが、その穴をまだ埋め切れていないようです。とはいえ、現状では札大と互角に戦えるのは岩教大のみでしょう。6月11日から再開されるリーグ戦で、一段レベルアップした姿を見せて欲しいものです。そして、他チームの奮闘で激戦となることを期待します。

実は、総理大臣杯決勝の前座で、学連のU-19選抜と2部3部選抜チームの試合が行われています。これは、東京オリンピックが開催予定の2020年に23歳となるのが、現在の大学1年生なのです。このため、全日本大学サッカー連盟でもU-19世代の選手を強化しようという意図で各地区の学連に支持しています。今回は総理大臣杯などでU-19を選考。試合は5-1で快勝しています。2.3部の選抜選手も技術的には差がないのですが、身体能力、インテンシティー(プレー強度)の面で後半に差が出てしまいました。U-19の今後は、今回の選手を中心に1年生でも有望選手は積極的に北海道選抜にフィードバックしていく方針のようです。もしかしたら、東京五輪の日本代表選手が学連から生まれるかもしれません。可能性はゼロじゃないので4年間、頑張って欲しいと思います。

写真説明

前半4分DFラインの裏を抜けたFW新田が先制点

先制点に歓喜の札大イレブン

CKを直接決め喜ぶ岩教大の井端

ダメ押しの3点目を決め飛び上がり喜ぶ札大の新堀

表彰式で悔しそうな表情の岩教大イレブン

表彰式で田中会長から優勝カップを受け取る札大・池田主将

札大を優勝に導き、選手と握手する砂川コーチ

応援の部員とともに歓喜の札大イレブン
大臣杯決勝01.JPG
大臣杯決勝02.JPG
大臣杯決勝03.JPG
大臣杯決勝04.JPG
大臣杯決勝05.JPG
大臣杯決勝06.JPG
大臣杯決勝07.JPG
大臣杯決勝08.JPG

キムケンの大学サッカー応援コラム2016年度①

お久しぶりです。北海道大学サッカーサポーターのキムケンです。長らくご無沙汰していました。こちらの都合で執筆が滞ったことをお詫び申し上げます。さて今季の大学サッカーも5月14日からの第40回全日本大学サッカートーナメント北海道大会より開始され、4強が出揃っています。今回は、筆者が撮影した試合で印象的な試合をダイジェストで簡単に振り返っていきます。

1,2回戦、そして3回戦で旋風を巻き起こしたのは、今季から学連に参加した旭川大学です。当然3部からのスタートなのですが、1年生を中心に北海道高校サッカー界の強豪旭川実業の選手が多くを占めていて、その潜在能力に注目していました。初戦となる2回戦の相手は小樽商大。この試合のスタメンは1年生7人、そして旭実高出身選手が6人を占めていました。相手は2部で上位を争うチームですが、前半から互角の試合展開。運動量、球際で勝る旭川大やや有利の展開で、40分に先制すると前半終了間際の45分にも追加点を挙げます。後半は攻勢に出る樽商大に一歩も引かず、奪ったボールを縦に素早く展開しカウンター攻撃でチャンスを作ります。樽商大は後半途中から足も止まり、プレスにも行けなくなった後半40分にキャプテンの田中伸明選手(3年)がドリブルで持ち込みシュートを決め試合を決め、アディショナルタイム1分にも追加点を決め、衝撃の4-0の圧勝で、“デビュー戦”を飾りました。

3回戦は1部の東海大札幌校舎(以下、東海大)と対戦し、先制されますが、後半41分に追いつく粘りを見せます。アディショナルタイム3分に決勝弾を決められ敗れますが、1部の実力校に対し十分健闘したと言えるでしょう。1年生中心ですが個人技術はしっかりしているだけに、経験を積めば非常に面白い存在です。3部リーグはあっさりと通過してもおかしくありません。参戦1年目ながら優勝候補筆頭と言えます。

1,2回戦で面白かったのは、2部・北海道医療大(以下、医療大)と3部・北海道教育大釧路校(以下、釧教大)の試合でした。前半から激しい点の取り合いとなり、技術に勝る医療大が押し気味に展開しますが、釧教大も体を張ってボールを奪い、カウンターで決定的チャンスを作ります。前半は2-1で医療大リードで折り返しますが、後半18分に釧教大が追い付き、27分に医療大が突き離し3-2。このまま試合は進み、試合終了かと思われましたが、アディショナルタイム1分に釧教大のMF菊地純選手(4年)の左サイドからのミドルシュートが決まりまさかの同点。これでPK戦かと誰しもが思いましたが、その1分後、医療大の右CKのこぼれ球を、MF長谷川凌平選手(2年)がクロス気味のシュート。これがゴールネットにそのまま突き刺さりまた突き離します。これで試合は終了。試合のレベルはともかく、サッカーの面白さ、怖さが存分に詰まった試合でした。釧教大にとっては天国から地獄に突き落とされたような展開。試合後、ピッチに崩れ落ち泣き崩れる選手たちが印象的でした。この悔しさを糧に3部リーグでの健闘を祈ります。
1部チームが登場する3回戦ではさすがに番狂わせは起きませんでしたが、前述した旭川大が健闘。そして、医療大は北翔大に対し、後半19分にPKで先制しますが、31分に追いつかれ、39分に惜しくも逆転されてしまいました。また、今季2部に昇格した札大谷大は北海学園大に0-2と惜敗。前半は互角の展開で後半も決定的チャンスを2度ほど作ったのですが決めきれず。どうしてもボールを支配され、蹴る展開が多く、途中から足が完全に止まり、後半36分に失点し敗れます。2部にも技術が高い選手が多いのですが、1部との差は技術以上に、フィジカル面とスタミナと言えます。北海道の大学サッカーでも2部になると、部員が少ない、実習やアルバイト等で練習人数が揃わないなど、悩みをそれぞれ抱えています。練習量が1部チームと比較して、大きな差になるでしょう。ボールを回され走らされるので、前半は耐えても後半にスタミナ切れを起こすパターンが多いので、健闘どまりになっています。1部と2部の壁はかなり厚い現状で、2部チームの力の底上げも北海道大学サッカーのレベルアップの課題と感じました。

さて、4回戦(準々決勝)で最も激闘となったのは、東海大と北大の試合です。この2校は近年、力をつけ、東海大は昨年1部リーグで札大を破り、北大は一昨年に道都大と岩教大に勝利しています。実力拮抗の両者の試合は、中盤で激しい潰しあいになり、セカンドボールや球際での競り合いで勝った方がチャンスをつかむという、つばぜり合いになりました。どちらも、パスサッカーを目指しているのですが、両チームとも前から激しくプレッシャーをかけあうので、きれいなパス回しなどできようもありません。美しいサッカーはそれで楽しいですが、勝利のために気迫のこもった泥臭い展開もサッカーの醍醐味でしょう。試合は前半37分、CKからの混戦から東海大のDF梅田祐希選手(4年)が頭で押し込み先制。後半は北大がペースを握り36分にサイドチェンジからFW木下誉久選手(3年)が決め歓喜の同点弾を決めます。10分ハーフの延長戦でも勝負がつかずPK戦へ。ここにハイライトが待っていました。先蹴りの東海大の1人目が失敗し、北大が決め0-1。しかし、ここから東海大のGK安齋優太選手(2年)が気迫満点のセービングで何と3本のシュートを止めます。東海大は2人目から全員が決め、PK戦3-1で4強へ進出しました。

そのほか4強は道都大を破った北翔大、そして2強の岩教大、札大が順当に勝ち進んでいます。準決勝は岩教大-東海大、札大-北翔大の対戦です。厚別公園競技場で28日に準決勝、29日に決勝が行われます。どんなドラマが待っているか、北海道のサッカーファンの方、入場無料なので応援よろしくお願いします


写真説明

樽商大戦でダメ押し4点目を決め喜ぶ旭川大イレブン

後半アディショナルタイムに決勝点を挙げ歓喜の道医療大

土壇場の失点での敗戦に泣き崩れる釧教大イレブン

道医療大戦で北翔大は後半36分にDF小倉涼(写真左)が決勝弾を決める

北大戦のPK戦で東海大GK安齋は3本のシュートをストップ

PKを止め雄たけびを上げる東海大GK安齋
総理大臣杯01.JPG
総理大臣杯02.JPG
総理大臣杯03.JPG
総理大臣杯04.JPG
総理大臣杯05.JPG
総理大臣杯06.JPG


過去の記事はこちら

全日本学連 基本理念の改訂について
圧縮版カラーA4)全日本学連宣言(14年3月).pdf

全日本学連基本理念の改訂に付いて ダウンロード

ページの先頭へ

3What's new

3What's new

ページの先頭へ

3What's new

北海道学生サッカー連盟バナー(100×200).jpg